ぼくらが旅に出る理由

何をしていてもこんなことをしている場合じゃない気がしてきて、大体学校を休む前の日には夜のうちから絶対に明日は休むぞ…と意気込んでから寝るのだけど、今日は本当にただただ起きられなかった。いつもおなじ話をしていた友達もついに就職活動を始めて、なのに私は冷えきった部屋で今も、呑気にギターを抱えこんでいる。話は変わるけれど、好きなことを仕事にするのは怖くて仕方ないことだと、未だに本気で考えてしまう。言い訳にしか聞こえないかもしれないけど、これが本当の気持ち。うちで働いてもいいよと言ってくれたライブハウスの店長とはあれから結局何も話せていないし、自分が何を望んでいるのか、言葉という形にしようと試みている今も全くわからない。どの選択をしても後悔してしまう気がしてならなくて、大人にも子供にも成り切れない今、私は一体何者なのか、そんなことさえ分からなくなった。もっとあの眼鏡の男の子の話とか、ウミネコって実は海辺に住みついてる猫のことじゃなくて「ミャーオミャーオ」と鳴く白い鳥のことなんだよ、とか、そんな話を永遠としたいだけなのに、考えているからこそ、何も言えないだけなのに。